3年連続で恒例となった、アップルコンピュータ代表取締役社長原田永幸さんによるiWeekの基調講演。編集部では、iWeekを記念し、大阪で原田社長のインタビューを行いました。その内容をお届けしましょう。
編集部:今回のiWeekの基調講演で一番強調されたかったことは、なんでしょうか?
原田社長:(修理の)値段を下げたというよりは、サービスを「商品」として考えていきたい、ということです。商品であるからには、「価値」と「最適な価格体系」ということになります。したがって、(修理の)「見積り」は、ユーザー様が価値を感じないのですから、修理もしないで見積りだけでなんで9,000円払うのか(とユーザー様は感じますので)、これは0であるべきです。
(もちろん)修理の見積りは原因を調べるために、修理と同じぐらい作業工程がかかります。(たとえば)コストが発生するから14万8,000円、これが今までの修理の価格を決定する1つの考え方だったのです。(ところが)商品としてとらえるためには、「適切なプライスバリュー」という基本的な考え方があるんですね。そこで、まず、集中修理体制の改善として、(PowerBookに対しては)2万円と4万7,000円の2プライスにしました。そのことによって(見積りにかかる時間がなくなったために)「スピード」という商品の「価値」が高まったということですね。そして、コストベースで価格を決めるのではなく、「価値」で決めるのです。というのが今日の(講演の)全体の主旨です。
編集部:コストベースで価格を決めるのではなく、価値で価格を決めるということは、消費者にとって魅力的ですね。
原田社長:(私どもには)「プライスバリュー」ということが基本的な考えとしてあって、また今日講演で申し上げたことが実現できてはじめて、有償のサポートなどをお客様に認知していただけると思います。そのための第1弾として、今の価格を「商品」としてとらえた価格にしない限りは、そちらの方は商品としてありえない、と思うのです。
編集部:対面修理の復活について聞かせてください。
原田社長:(ユーザーからの要望に対し)たった1つの声でも大切なことは採用します。まず、対面修理に関しては、私どものサービスインフラでないところで、今まで勝手な、あるいは自由なサービスが提供されていました。その中に対面修理の問題がありました。私どもの意志が反映されないようなインフラがたくさん存在していた。
(一方)集中体制にするということは、わたしどもが全部直接やるということです。それを1回やったからこそ、今日のお話をさせていただいた、(新しい)対面修理を、私どもの意志を反映したかたちで実現できたのです。すなわち、保証期間中だったら値段は変わりません、保証期間すぎても5,000円の追加料金いただければ、対面修理ができます、ということが可能になりました。そういったプロセスを踏んでやってきたのです。今回の対面修理は、前の対面修理と全く異質のものです。私どもの意志を反映した対面修理という意味で、再構築です。
編集部:ところで、毎年のiWeekの基調講演の中に、ユーザーを大事にしたいという想いが現れているように思いますが。
原田社長:Steve JobsがiCEOとして戻ってきた時に最初に言った言葉が、「Appleには3つの財産がある。1つはライフスタイルプラン、2つめがMac OS、もう1つ大事なものがユーザーのみなさま」ということです。アップルは、ユーザーのみなさんに感動してもらいたい、と、「世の中にないものを作ろう」というエネルギーがあります。ユーザーさんも、MacユーザーがMacユーザーを作る、ユーザー同士で助け合うという「コミュニティ」を作っているわけなんですね。コンピュータ業界では絶対ほか(の会社)にはない。そういう意味で、iWeekでは、直接ユーザー様の前でお話させていただく貴重な機会なのです。
編集部:話が変わりますが、Macのイベントの魅力を教えてください。
原田社長:みんなが同じ空気を吸うような「お祭りなような雰囲気」があるのではないでしょうか。送り手・受け手といういう感じはないですね。1つのコミュニティとして、「iWeek」は一番近いような感じですね。アップル主催ではないですから(笑)。
編集部:社長は、iWeekだけではなく、例えば長崎県で講演されたり、石川県で講演されたりしていますね。これは、首都圏以外も大事にしたいという現れですか?
原田社長:私どもは市場サイズが小さいという理由で、東京以外の地域のことが大事じゃないということは考えておりません。コンピュータの置かれている場所ではなく、ソリューションで考えなければならない。地理的な場所とか(コンピュータが)置かれている場所なんて、関係ないではありませんか。機会があれば時間が許す限りいろいろなところにおうかがいしたいです。
編集部:最後に関西圏のMacユーザーに対してメッセージを。
原田社長:ユーザーさんの熱心さについては、東京も大阪も変わりはないです。しかし、大阪のユーザーさんは雰囲気がいいですね。話していてとても気持ちがいい。ざっくばらんで。ユーザーさんに要望があるのですが、怒るのではなく、叱っていただきたい。
ところで、話は変わりますが、競合するものを知ることは簡単なのですね。ユーザーさんの「心を知る」ことは非常にむずかしいのですね。修理がAppleCareの命題ではない。ユーザー様の心のケアをするのが「アップルケア」という考え方なのです。
編集部:つまり、ユーザーのことが一番大事ということに戻りましたね。今日は、どうもありがとうございました。
【『Mac Fan Net』で関連記事を!】
「iWeek2001 〜MacDays in GW〜」大盛況のうちに始まる
http://macfannet.mycom.co.jp/news/0105/04/0504iweek_report.html
iWeek 2001〜MacDays in GW〜〜フォトレポート
http://macfannet.mycom.co.jp/special/iweek2001/010504iweek2001_photo1.html
「iWeek 2001〜MacDays in GW〜」アップル原田社長の基調講演盛り上がる!
http://macfannet.mycom.co.jp/news/0105/04/0504iweek_kyenote.html